質の良い眠りとは

スリープ研究センター

1993年開設。より「上質な眠り」を提供する製品の開発を促進すべく、寝具の耐久性・品質・性能の検査を始め、科学的・医学的な視野から睡眠工学の研究を行なっている。

  
睡眠の質は睡眠時間の長短で決まるのではなく、「スムーズな入眠」「良い睡眠のリズム」「良いタイミングでの起床」の3つの要素が必要です。私たちはこの3つを得ることで、目覚めた時や日中に身体を動かしている間に「よい眠りを得た」と実感することができます。

「スムーズな入眠」とは、交感神経をリラックスさせた状態で睡眠の準備を整えること。好きな本を読んだり、アロマテラピーなどの香りを楽しむ、38℃~40℃くらいのぬるめのお風呂に入浴する、といった方法が効果的だと思います。ちなみに、寝付けない時にお酒を飲む方も多いかと思うのですが、これはアルコールの力で身体をごまかしているだけなので、次にお話しする「良い睡眠のリズム」に結びつきません。飲み過ぎた晩、急に目が覚めてしまうことが多いのはそのためです。

では「良い睡眠のリズム」とは何か。これは「レム睡眠(脳は覚醒している状態)」と「ノンレム睡眠(深く熟睡している状態)」のリズムのこと。睡眠の流れを説明すると、まず入眠後すぐに「ノンレム睡眠」に入り、それから「レム睡眠」に移ります。最初「ノンレム睡眠」に入っていく際は、細胞の活性化に役立つといわれる成長ホルモンが多く分泌されます。ですからスゥーッと深い眠りに入ることができるよう、準備しておくことが大事なのです。

また「ノンレム睡眠」に入っていく過程で、徐々に体温は下がり、また身体の表面は体内の熱を放出するため汗をかきます。この「体温が下がっていく過程」によって、私たちは深い眠りを得ています。なのでまた「レム睡眠」へと移り、体温を再び上昇させてから「ノンレム睡眠」に入る、というリズムを繰り返しているのです。この時の温度差は睡眠効果に比例しており、どちらかに偏った睡眠では、脳と身体の疲れを両方とることができません。

最後に「良いタイミングでの起床」について。これは浅い眠りの状態である「レム睡眠」の時に目覚めることです。「ノンレム睡眠」から「レム睡眠」までに移行するまでの時間は約90分間。睡眠時間に関わらず、体温が上昇している時に目覚めることで、脳も身体も快適な朝を迎えることができます。



これは「良い睡眠のリズム」を促進する寝具を選ぶということに尽きます。前述の通り、睡眠中はたいへん汗をかきますから、まず「発汗作用を促進する効果が高い寝具」であること。そして「正しい寝姿勢を保つことができる寝具」を選ぶことが大切です。

発汗を促進するために必要なのは、「保湿性」「吸湿性」「放湿性」です。寝床の温度を一定に保つ。肌がベタベタしないよう湿気を吸う。そして吸収した湿気を早く空気中に放散させるということです。このことにより、深い眠りを得ることができますし、いわゆる熱帯夜のような寝苦しさを感じずに済みます。

具体的には、まず身体全体にフィットする軽くて暖かい掛け布団を選ぶこと。吸放性に優れた素材を選ぶことです。ウール、綿、羽毛といった天然素材はおすすめですが、こまめに洗濯・乾燥しないと、その効果は薄れていきます。現在はカビやバイ菌にも強く、かつ吸放性の高い合成繊維も開発されておりますので、手入れが面倒な方は合成繊維の布団を検討されてもいいでしょう。

また、良い睡眠状態をキープするためには、背中、腰などに程よく圧力がかかる硬さと、クッション性を 兼ね備えたマットレスと首に負担をかけない枕が必要です。背骨を理想のS字形に保てるマットレスと枕を使うことで、最も深い睡眠につながるといわれる「仰向け」の姿勢で睡眠をキープしやすくなります。ただし、一人ひとり体型・体重や寝相は異なるため、個々に合わせたものを選ばなくてはなりません。

そこで当センターは、後頭部から首、背中、腰、臀部にかけてのバックラインと、身長・体重データを基に、理想的な寝姿勢になるマットレスのクッション性と枕の高さを割り出す「寝姿勢測定器」を開発。この測定器により、理想のマットレスと枕を瞬時に知ることも可能になりました。

快適な日常生活を送るためには、質の高い眠りが不可欠です。現在、心地の良い睡眠を得られていないとお悩みの方は、ぜひ一度、寝具を見直されてはいかがでしょうか。